TCJ552B

機能が豊富なホームターミナルです。 360(W)×63(H)×265(D)mm, 3.2Kg です。 取扱説明書とリモコン(型式:CT-9555)も入手しました。

  

RF系は「ケーブル入力」「スルー出力」「FM出力」があります。

ビデオ系は「出力1(テレビ)」「出力2(ビデオ)」「入力(ビデオ)」があります。 「出力1(テレビ)」ではテレビの画面に時刻やメニュー等が表示され、音量も設定できます。 「出力2(テレビ)」では時刻やメニュー等が表示されず、音量も一定です。

出力には「UHF出力(13ch)」もあります。 CATVで受信した画像と音声をテレビの13chに変換します。

ケースは金属製で、外すと基板が見えるようになります。 ケースを開けるにはトロコス15番の特殊ドライバーが必要です。 開けてみると基板はベークライトだし、カスタムLSIは1個も無いと前時代製品です。 おそらくスクランブル解除後信号にはマクロビジョンなんかは入っていないと思います。
でも 研究用にはこのタイプが一番扱い易い です。

基板の手前左側に金属シールドボックスがあります。 隠されているとぜひ開けてみたい衝動 にかられます。

魅惑 の金属シールドボックスの上ブタを開けるとMPUを含む制御部分が見えます。 CATV契約情報などは8ピンサイズのシリアルEEPROM (座標:QA03, IC名:59C11)に記憶されるようです。

デカイICは左から「Toshiba TC17G032AP-0153」「Sanyo LC3518BL-15 (16K S-RAM, 6118タイプ)」「Sharp LH53259D (ROM)」「Intel P80C31BH-1 (8bits MCU)」です。



金属シールドボックスのすぐ右側に TPA01 というテストピンがあります。 電源コンセントを抜いた状態でこのピンとGND(筐体の金属部)間をジャンパー線で接続します。 そしてこのまま電源コンセントを入れるとブザーが4回鳴ります。 ブザーが鳴り終わったら電源コンセントを抜き、ジャンパー線を取り外します。 こうするとシリアルEEPROMが初期化され、 機器ID=1 となります。

警告:良い子は絶対マネしてはいけません。結果を保証しかねます。



面白そうな回路なので、基板から逆回路化を始めました。 電子回路CADとしては 水魚堂 さんの BSch を使っています。 フリーソフトですが非常に良く出来たCADです。 動作も速いです。 パーツのライブラリが少ないのが難点ですが、パーツ作成が比較的簡単に作れるのでそれほど困りません。 私は通常 OrCADを使っていますが、このソフトは価格が高いので一般の方にはなかなか手が出ません。 そこで、使い物になるオンラインソフトはないかと探して、このソフトにヒットしました。 水魚堂さん、使わせていただきどうもありがとうございます。

2001年2月17〜18, 24〜25日, 3月3〜4日の6日間で一通り終了しました。 3月5〜10日でチェック完了しましたので正式リリースです。 なお、ファームウェアの解析が進むと回路図にも反映しようと思っているので、日付で版管理することにしました。
  1. 回路図(1/2) 05-Mar-2001版
    全体回路図です。

  2. 回路図(2/2) 13-Mar-2001版
    一番難解なメインボードの回路図です。 2001年2月17〜18日でマイクロコントローラ周りの回路をCAD化しました。 2001年2月24〜25日で電源,スクランブル解除信号発生,モデム周りの回路をCAD化しました。 2001年3月3〜4日でPLLチューニング,ビデオスイッチ,ビデオ,オーディオ,その他周りの回路をCAD化しました。

  3. 回路図(BLOCK1) 10-Mar-2001版
    スクランブル解除信号発生,モデム周りの回路です。

  4. 回路図(BLOCK2) 05-Mar-2001版
    多重音声復調周りの回路です。

  5. 回路図(BLOCK3) 10-Mar-2001版
    オーディオ周りの回路です。 オーディオ電子ボリュームもここにあります。 TC9176が電子ボリュームです。

  6. パーツリスト&IOマップ(Excel版) 25-Mar-2001版
    パーツリストはBSchシリーズのパーツリスタを使ってパーツリストを作成し、若干加工しました。 IOマップは作りかけです。



2001年3月11日からやっとファームウェア解析に入りました。

まず、秋葉の秋月で9,000円(消費税込,RS-232Cケーブルと27C256×2個サービスで付けてくれました。)で買ってきたROMライターキットを組み立てました。 最初なかなか動作しなかったのですが、チェックの結果、私の半田付けミスではなく、最初から面付けされていたCPUチップのピン間が半田ブリッジしていたと判明し、対策後OKとなりました。

ROMライターの制御ソフトは MS-DOS専用で Windows-Meの DOS窓では RS-232Cポートがうまくコントロールできないようです。 おかげで、ペン3-733MHzで動作する MS-DOSシステムを構築してしまった。

せっかくROMエミュレータがあるので実アドレスと実データでデバッグしたくなります。 ところがTCJ552BではROMのアドレスとデータラインを入れ換えてあるので、それができません。 という訳で、ROMのアドレスとデータラインを入れ換えるツールを製作しました。 28Pinの丸ピンICソケットを買ってきて、その間を配線しました。 たった、140円の出費でデバッグがすごく快適になりました。



ファームウェアに埋め込まれているメッセージ文字列の文字コードは ASCIIコードではありませんでした。 ROMエミュレータを使って調べた結果は以下の通りです。 コードFDhとFFhはスペースコードです。 コード9Bh〜9Fhは音量バーのグラフィックが、コードFEhは霧状のグラフィックです。 メッセージはファームウェアのアドレス4000h番地〜43FBh番地に埋め込まれています。


00 10 20 30 40 50 60 70 80 90 A0 B0 C0 D0 E0 F0
00 0 G W
01 1 H X
02 2 I Y
03 3 J Z
04 4 K (
05 5 L )
06 6 M [
07 7 N ]
08 8 O h
09 9 P :
0A A Q *
0B B R @ am
0C C S _ A pm
0D D T + B  
0E E U C E
0F F V - D  



Ticketsさんに59C11ライター作っていただき、2000年3月27日に受け取りました。 ありがとうございます。

PIC16C84 というPICを使って作成してあります。 +5VのACアダプタで動作します。 パソコンとは RS-232Cインタフェースで接続します。 パソコンに必要なソフトはターミナルソフトだけです。 59C11ライターが全てのコントロールを行います。

PIC ってスゴイ!!と思いました。



2001年4月7日に リモコンコードの調査を行いました。
TCJ552Bをリモコン操作するには「NECフォーマット」で「カスタムコード49h」に続いて「データコード」を発信すればよいです。

任意のリモコンコードを発信するには リモコン・コン というソフトを使います。 このソフトはWindows95しか動作しないようで、Windows95で動作するノートパソコンにインストールすると便利です。 私は Libretto 50 にインストールしました。 ノートパソコンに内蔵されている IrDAポートを使ってリモコンコード発信やリモコンコード学習ができます。 任意のリモコンコードを発信するには、リモコン・コンのどれかのリモコンボタンを右クリックして「フォーマット」「カスタムコード」「データコード」を設定し「Test」ボタンを押すと発信できます。 「OK」を押すとそのリモコンボタンに記憶させることもできます。 よく出来たソフトです。

この辺りは jump_bugさんに教わりました。 どうもありがとうございます。

リモコン・コンを Libretto 50内蔵の IrDAで使っていましたが、やはりいちいちリモコンコード発信に Libretto 50を TCJ552Bの前に持って行くのが面倒と思うようになりました。 2001年4月3日に秋葉を歩いていたら「OTTO」でこの「富士通 Irコマンダー」のジャンクを見つけました。 新品同様品でなんと!!! 95円 でした。 持ち帰って RS-232Cで Libretto 50に接続し、リモコン・コンの設定を「富士通 Ir commander」にしたらちゃんと動作しました。 発信出力がかなり強力なので TCJ552Bがよく応答してくれます。

リモコン・コンはWindows95でしか動かないというのは内蔵IrDAポートを使う場合だけのようです。 この Irコマンダーを使うと Windows-Meでも動作しました。

以下の表は「データコード」「内部処理コード」と「リモコンボタン」を対比しています。 これを見るとリモコンボタンに割り付けられている以外の機能があることが判ります。 特に「DIAGNOSTIC TEST 1」「DIAGNOSTIC TEST 2」が重要です。
データコード	内部処理コード	リモコンボタン	説明
00		0A		ビデオ		CATV/外部ビデオ入力 切替
01		01		1		数字ボタン1
02		02		2		数字ボタン2
03		03		3		数字ボタン3
04		04		4		数字ボタン4
05		05		5		数字ボタン5
06		06		6		数字ボタン6
07		07		7		数字ボタン7
08		08		8		数字ボタン8
09		09		9		数字ボタン9
0A		14		表示設定		オンスクリーン表示設定
0B		00		0		数字ボタン0
0C-0D		22				(未定義)
0E		1A		表示		オンスクリーン表示ON/OFF
0F		0F		オフタイマー	30/60/90/120分で電源OFF
10		11		音消		音声ミューティングON/OFF
11		1E		簡単録画		簡単録画ON
12		12		電源		電源ON/OFF
13		13		音多切換		音声多重放送の音声切換
14		15		告知		告知放送の受信
15		0B		タイマー		タイマー予約
16		16		登録		呼出チャンネルの登録
17		17		削除		呼出チャンネルの削除
18		18		リピート		チャンネル・リコール
19		19		呼出		呼出モードON/OFF
1A		1C		音量↑		音量↑
1B		1B		チャンネル↑	チャンネル↑
1C		0C		設定→		設定→
1D		0D		←設定		←設定
1E		1D		音量↓		音量↓
1F		1F		チャンネル↓	チャンネル↓
20-3F		22				(未定義)
40		28				全ランプ点灯
41		20				CH表示がC0-C7まで切り替わる
42		2A				音量を最大にする
43		26				(未定義)
44		29				(未定義)
45		27				(未定義)
46-4D		22				(未定義)
4E		0E				DIAGNOSTIC TEST 1
4F-5A		22				(未定義)
5B		23				(未定義)
5C		21				(未定義)
5D		10				DIAGNOSTIC TEST 2
5E		25				(未定義)
5F		24				(未定義)
60-FD		22				(未定義)
FE		29				(未定義)
FF		12				電源


「DIAGNOSTIC TEST 1」画面です。

「データ通信」「端末動作状態」「エリアコード」「月契約コード」「物理アドレス」「論理アドレス」「ROMバージョン」「インストール日」が表示されます。



「DIAGNOSTIC TEST 2」画面です。

「COUNTER」「RCU」「KEY」「FSK DATA」「FSK ERROR」「NEW INPUT」「DEPRESS」が表示されます。



2001年4月13日、 !!!インストールモードを発見しました!!!

これが「インストール」画面です。

インストールモードでは「物理アドレス」「契約データ」「エリアコード」のデータが設定できそうです。

上記の5項前後でどのような操作をすべきか?まだ解明できていません。



2001年5月5日、 ペアレンタルロックの方法を発見しました

ペアレンタルロック(チャイルドロック)の方法を発見しました。 これは TCJ552Bの取扱説明書に記載されていません。

まず、呼出モードの使い方を説明します。 呼出モードとは取扱説明書によると「多数のチャンネルの中からよくご覧になるチャンネルを登録して選局操作を簡単にすることができます。」と書かれています。 要は、登録したチャンネルだけをチャンネルアップダウンキーで選択できるということです。 逆に言うと、呼出モードでは登録したチャンネルしか見ることができなくなります。 ここまでは取扱説明書に記載されています。 次にペアレンタルロックについて説明します。 要するにペアレンタルロックは「呼出モードの拡張」みたいなものです。 お試しあれ! なお、この操作を行うにはリモコンが必要です。



解析現場の紹介です。 シンクロスコープとデジボル,ロジックプローブ,ROMエミュレータ,ノートパソコンなどです。

写真の中央部にフラットケーブルでTCJ552Bに接続している白いボックスがROMエミュレータです。 ROMエミュレータにはRAMが載っており、これが 27C256 ROMをエミュレートします。 ノートパソコンからRS-232Cケーブルを介してファームウェアプログラムを書き換えることができます。

楽しい世界はまだまだ続きます。